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【図解】世界大学ランキング日本版の罠!?〜2020年3月24日速報〜

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はじめに

私は先週「東北大学が初の1位。英国の教育専門誌が「世界大学ランキング日本版2020」を発表」という見出しの記事を見つけた。(2020/3/24発表)

近年「東北大」は研究分野において確実に力をつけていることは分かっていたが「東大」が3位であると知り、そのランキングについて調べてみると衝撃の事実が分かった。

なんと「世界大学ランキング日本版」は、世界大学ランキングから日本の大学のみに絞ったものではなく「世界大学ランキングとは全く異なるもの」であったのだ。

今回はその謎に包まれた世界大学ランキング日本版について深掘りしていく。

世界大学ランキング日本版とは

世界大学ランキング日本版とは「The Times Higher Education (THE)とベネッセが共同作成したランキング」であり、THEが提供する公式の世界大学ランキングとは「指標も目的も異なる」という事に留意する必要がある。 

試しに、両ランキングのTOP5を比較してみる。 

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公式のランキングと日本版では順位が異なる」ということをお分かり頂けただろうか。

ではなぜ公式のランキングと日本版では順位が異なるのか、それは「指標も目的も異なる」からである。

以下で「指標」と「目的」の違いについて述べる。

 

公式と日本版ランキングの「指標」と「目的」の違い

- - - 世界大学ランキング(公式)の指標 - - - 

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 (出典:The Times Higher Education

 ①「教育」30%

・研究者間での大学の評判(15%)

・学生あたり教員数(4.5%)

・博士号取得者率(2.25%)

・学部生あたり博士号取得者率(6%)

・教育事業収入(2.25%)

②「研究」30%

・研究者間での大学内研究の評判(18%)

・研究事業収入(6%)

・論文数(6%)

③「論文引用数」30%

④「国際観」7.5%

・留学生数比率(2.5%)

・外国人教員率(2.5%)

・国際共同研究(2.5%)

⑤「特許収入」2.5%

 

- - - 世界大学ランキング日本版の指標 - - - 

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(出典:THE 世界大学ランキング 日本版

①「教育リソース」34%

・学生一人あたりの資金(8%)

・学生一人あたりの教員比率(8%)

・学生一人あたりの論文数(7%)

・大学合格者の学力(6%)

・教員一人あたりの競争的資金獲得数(5%)

②「教育充実度」30%

・教員と学生の交流及び協働学習の機会(6%)-学生調査

・指導の充実度(6%)-学生調査

・大学推奨度(6%)-学生調査

・グローバル育成人材の重視(6%)-高校教員の評判調査

・入学後の能力伸長(6%)-高校教員の評判調査

③「教育成果」16%

・企業人事の評判調査(8%)

・研究者の評判調査(8%) 

④「国際性」20%

・外国人生比率(5%)

・外国人教員比率(5%)

・日本人学生の留学比率(5%)

・外国語で行われている講座の比率(5%)

以上より、公式と日本版のランキングは「各指標から調査方法をとってもまるで異なる」という事が言える。

指標に関しては公式が「教育(30%)」「研究(30%)」「論文引用数(30%)」などが大きな割合を占めるのに対し、日本版では「教育リソース(34%)」「教育充実度(30%)」に重みがかかっている事がわかる。

つまり、世界大学ランキング(公式)では「研究」中心だが、世界大学ランキング日本版では「教育」中心に評価されていると言える。

さらに調査方法に関して言えば、公式では評価の大部分が「論文引用数」「事業収入」など客観的に判断できる指標が多いが、日本版では大きな割合を占める教育充実度で「学生調査」「高校教員の評判調査」など主観的な要素が強い。(日本版では評判調査の項目が全体の46%を占める)

その上日本版ランキングでは、評判調査の方法もブラックボックス化されており「信頼できるランキングとは言い難い」面もある。

もちろんしっかりとした統計方法に基づいているとは思うが、世界大学ランキング(公式)とは全く別物であるという認識を持つ必要がある。

事実、「帝京大学」「近畿大学」は公式のランキングで上位を占めているが、日本版だとかなり順位が低いものとなっている。

これは「世界大学ランキング日本版では評価の大半が評判調査のため、必然的に有名大学が上位に来る」ということも示唆している。

 

世界大学ランキング日本版の意義

これまで世界大学ランキング日本版が、公式のものとは全く別物であるということを確認してきたが、それはこのランキングが「無意味なもの」と言いたい訳では無い。

世界大学ランキング日本版でも語られているように、 これは「教育力の高さを国内外へ伝える」という事を目的として作られている。

私は今回(2020年版)の結果で「東北大が東大を抑えて首位に立った」ということは非常にポジティブな意味を持つ捉えている。

通常、高校生が志望校を選ぶ際に「偏差値」という指標が使われる事が多いが、これは一つの入学難易度を表すものであり、必ずしも「偏差値が高い=質の高い教育が受けれる」という関係が成り立つ訳では無い。

実際私は慶應義塾という比較的偏差値の高い大学にいるが、一般的に思われているほど教育の質が高いという訳では無い。

むしろ他の(偏差値の低い)大学の方が「成長できる環境が整っている」という可能性も十分に考えられる。

この日本版ランキングで「評判調査に重きが置かれている」ということは、高校生が大学生(or 企業担当者)の「生の声」を参考にし、偏差値に囚われず「自分にはどの大学がふさわしいのかを様々な指標から判断できる」という意味で大変有効なものであると言える。

つまり、この世界大学ランキング日本版の意義というものは「大学を教育機関であると捉えたときのバロメーター(=評価基準)」であり、THEの世界大学ランキング(公式)とどちらが正しいのかという議論には全く価値が無いのだ。

まとめ

世界大学ランキング(公式)と日本版は全く別物。慶應はもっと頑張れw」 

The Times Higher Education が出している世界大学ランキングについては明日解説いたします!

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🗣んならね〜〜