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【本気で解説】世界大学ランキングを完全理解〜日本が低いのは文系のせい!?〜

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はじめに

日本人って世界大学ランキングにあまり関心がないですよね、、

それもそのはず、我が国(日本)の大学は「偏差値」で測られる事が多く、世界大学ランキングなんてじっくり見た事ない方がほとんどだと思います。

「東大がトップじゃない事くらいは何となく知ってるよ〜」という方も現在の日本の大学の順位を知ると愕然とするはずです。

前回の記事(↓下記サイト)では「世界大学ランキング日本版」についてご紹介しましたが、今回は本家(The Higher Education)の「世界大学ランキング」について見ていきたいと思います!

【図解】世界大学ランキング日本版の罠!?〜2020年3月24日速報〜 - 宮古島×慶應理工× IT

世界大学ランキングにおける日本の大学の現状

まずは世界大学ランキングでTOP800に入った25の大学を見ていく。

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以上の結果から分かる通り、日本の大学はTOP100に東大(36位)・京大(65位)の2校しか入っておらず、世界からあまり評価を得る事ができていない。

安倍首相は2013年に「日本の大学をTOP100に10校入れる」と宣言しているが、期限まであと3年となかなか厳しいのが現状である。(参考

 

ところで、国を挙げてまでこのランキングの順位を上げる必要があるのだろうか?

おそらくこの記事の読者の中にも「このランキングはさほど重要でない」と考えている人も少なくないだろう。

 

しかし結論から言うとTHEが発表する世界大学ランキングの順位は「日本の国力を大きく左右するほど重要なもの」である、と断言できる。

 

<日本の順位が低いとどうなる?>

  1. 優秀な留学生や研究者が日本に来なくなる
  2. 海外の研究機関と共同研究をしづらくなる
  3. 日本人が海外留学をする際に行ける大学の幅が狭まる

>1.優秀な留学生や研究者が日本に来なくなる

基本的に我々もそうだが、海外の大学へ留学しようと思った時まず参考にするのが「THEの世界大学ランキング」である。

優秀な学生や研究者は常にハイレベルな環境を求めるので、日本の大学の順位が低いと「優秀な留学生や研究者は日本に来ない」という事が考えられる。

そして優秀な学生や研究者を呼び込む事ができなければ、結果的に「世界大学ランキングの順位」「国内の研究力」の低下に繋がるので、翌年も優秀な留学生や研究者を呼び込む事ができないという負のループに陥る事になる。

 

>2.海外の研究機関と共同研究をしにくくなる

こちらも似たような理由だが、世界大学ランキングはある種「その大学の信頼度」にも直結するため「海外の研究機関と共同研究をしにくくなる」事に繋がる。

共同研究は「論文数」や「被論文引用数」にもカウントされるので、大学のブランドを守る上でも非常に重要な指標である。

 

>3.日本人が海外留学をする際に行ける大学の幅が狭まる

これは上記の2つと似た理由だが、自分の大学のランキングの順位が低いと「留学の選考に影響が出る」可能性が高くなる。もちろん、志望動機やGPA(成績指数)なども重要ではあるが、いくら良い成績でもその大学のレベルが低ければ全く評価されない。

基本的に海外の人は早慶はおろか、東大・京大以外の大学を知らないと言われているので世界大学ランキングはやはり重要であると結論づけられる。

 

世界大学ランキングの指標と意義

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 (出典:The Times Higher Education

 ①「教育」30%

・研究者間での大学の評判(15%)

・学生あたり教員数(4.5%)

・博士号取得者率(2.25%)

・学部生あたり博士号取得者率(6%)

・教育事業収入(2.25%)

②「研究」30%

・研究者間での大学内研究の評判(18%)

・研究事業収入(6%)

・論文数(6%)

③「論文引用数」30%

④「国際観」7.5%

・留学生数比率(2.5%)

・外国人教員率(2.5%)

・国際共同研究(2.5%)

⑤「特許収入」2.5%

前回の記事でも紹介した通り、世界大学ランキングは「研究」分野の評価が順位に直結する。

例えば全体評価の30/100を占める論文引用数では「産業医科大学(99.8)」「帝京大学(95.9)」「藤田医科大学(91.1)」「横浜市立大学(86.2)」「関西医科大学(70.0)」の大学群が非常に高いスコアを獲得しており、「東大(60.7)」「京大(59.9)」を大きく上回っている。

藤田医科大学や帝京大学が早慶を抑え、世界大学ランキングで上位にいるのにはこのような背景がある。

他にも全体評価の7.5/100を占める国際観では「会津大学(66.8)」が「東大(38.2)」「京大(33.7)」を抑えブッチギリのトップであったり、全体評価の2.5%を占める特許収入では「東北大学(86.4)」で「東大(77.4)」「京大(66.2)」を大きく上回っていたりと中々面白い。

 

しかし、これらの指標も決して完璧な訳ではなく、

  • 各指標の点数内訳の合理的説明が無い
  • 学生のバックグラウンドを考慮した指標が無い
  • 論文を参考にする際のデータベースに偏りがある
  • 職員と学生数の比率が教育レベルの高さに繋がるのか
  • 海外の大学は卒業率が低いがそれでも教育レベルが高いと言えるか

といった懸念点もいくつか存在する。 

※「学生のバックグラウンドを考慮した指標」とは例えば、東大生の卒業後の年収が高い事は「東大の環境」と「東大生の家庭環境」のどちらの影響が大きいかという問題と同じである。東大生の親は基本的に年収が高い層なので、子も年収が高くなるのは当然のことであると考えるのか否かということ。

 

日本の大学が順位を上げる事が難しい本当の理由

  1. 文系が大学院へ行かない
  2. 英語系の論文しかカウントされない
  3. 優秀な研究者を雇える仕組みが無い
  4. 政府負担の基礎研究費の割合が他国に比べて低い
  5. 教授になるまでの道が長いので優秀な学生が海外へ行く

>1.文系が大学院へ行かない

日本は海外に比べて「文系が大学院へ行かない」という傾向がある。

世界大学ランキングでは「博士進学率に関する指標(8.25%)」の割合が高く、さらに大学全体としての「論文に関する指標(36%)」にも影響してくる事から、日本の大学ランキングの順位の低さは「文系の進学率の悪さに起因している」 といっても過言ではない。

 

>2.英語系の論文しかカウントされない

ランキングが英語ベースという事もあり「論文数(6%)」「論文引用数(30%)」など大きな割合を占める論文系のスコアは「英語系の論文しかカウントされない」のだ。

つまり日本語で書かれた論文は質の高いものであってもノーカンなので、英語圏以外の大学は必然的に順位が下がってしまう。

 

>3.優秀な研究者を雇える仕組みが無い

日本のは学長を頂点としたピラミッド構造なので、学長より高い給料は出せない。

一流の研究者達は莫大な金額で企業や大学からスカウトされる事が多いが、日本では「優秀な研究者を雇える仕組みが無い」ので優秀な研究者を海外から呼び込む事は簡単な事では無い。

 

>4.政府負担の基礎研究費の割合が他国に比べて低い

実は世間で騒がれているほど日本の基礎研究費は少なくないのだが「政府負担の基礎研究費の割合が他国に比べて低い」という事実がある(参考) 

しかもその金額も年々減少しているので、一流の研究者達が海外へ流れ結果として日本の研究力が低下するのだ。 

 

>5.教授になるまでの道が長いので優秀な学生が海外へ行く

これは最近始まったことでは無いが「教授になるまでの道が長いので優秀な学生が海外へ行く」という事実も存在する。

例えば、日本で脳科学の教授になろうと思うと、博士号取得後5年経ってその後助教授になれるのが1/20と言われているが、アメリカでは博士号取得後数年間研究をするとほぼ確実に助教授になれるのだ(参考) 

 

日本が少しでも順位を上げるには

  1. 欧米の一流大学の教授陣と共同執筆をする
  2. 著名な研究者を募って質の高い論文を量産する
  3. KPIを設定し本気で世界大学ランキングを狙いに行く
  4. 政府や大学職員の英語力を上げ、海外との交渉を上手く進める

>1.欧米の一流大学の教授陣と共同執筆をする

世界大学ランキングの順位を上げるには「海外の一流大学の教授陣と共同執筆する」という事も重要になる。

これはどの国でも推奨されているので特別セコい事では無いが、日本の大学がもっと積極的に狙いに行けばさらに順位が上がる可能性はある。

 

>2.著名な研究者を募って質の高い論文を量産する

世界大学ランキングだけでなく、大学のレベルを上げるには「著名な研究者を募って質の高い論文を量産する」事が最短ルートであり、正直これに尽きる。

残りは小手先のテクニックのようなもので、一流の研究者が質の高い論文を出し続ければ自然と優秀な人は集まるし、他の分野も自然と伸びていくからだ。 

 

>3.KPIを設定し本気で世界大学ランキングを狙いに行く

ランキングの順位を上げるには広島大学のように「KPIを設定し本気で世界大学ランキングを狙いに行く」事も重要になってくる(参考

全ての大学が広島大学のように本気で狙いに行けば自ずと順位も上がるだろう。

※「KPI」=Key Performance Indicatorの略。目標に対する状況を示す値。

 

>4.政府や大学職員の英語力を上げ、海外との交渉を上手く進める

大学のレベルを上げるには「海外の研究機関と提携を組んで協力する」という事が大切なのだが、政府にも大学職員にも英語力があり交渉が上手い人はほぼいないので「大学教授が直接交渉している」という現状がある。

つまり「政府や大学職員の英語力を上げ、海外との交渉を上手く進める」事ができれば、教授も本来の研究に没頭する事ができ、大学の研究力も上がるのだ。

 まとめ 

文系はもっと大学院へ進学して論文を書けw

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🗣んならね〜〜